ひとくちアドバイス

目次

ワクチンについて

一般的には妊娠中は、生ワクチン投与は不可、不活化ワクチン投与は可とされています。従って必要性があれば投与しても良い不活化ワクチンはありますが、原則的には妊娠中はワクチン接種をすべきではありません。以下の事項を参考にしてください。

ワクチンの種類

生ワクチン

弱毒変異株の生菌で死菌ではないためワクチン接種者の咽頭から少量のウイルスが排出されることがありますが、弱毒性のためほとんど伝播はしないとされています。赤ちゃんへの影響もほとんどないとは言われていますが100%ではないため、妊娠中の接種はさけ、妊婦さんは接種者と約3週間は密に接触しない方が良いでしょう。

不活化ワクチン

加熱処理、紫外線照射などにより殺した細菌(死菌)。

トキソイド

ホルマリンなどを使い無毒化したもの。

予防接種の可否

必要があれば妊娠中の投与が勧められるもの
  • 生ワクチン:なし
  • 不活化ワクチン/トキソイド:破傷風、日本脳炎、B型肝炎
母体にとって必要があれば接種してもよいもの
  • 生ワクチン:BCG
  • 不活化ワクチン/トキソイド:ジフテリア、百日咳、インフルエンザ、ワイル病、狂犬病
妊娠中は不可
  • 生ワクチン:麻疹、風疹、ポリオ、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)、水痘、黄熱病
  • 不活化ワクチン/トキソイド:コレラ

インフルエンザ対策のQ&A

Q

インフルエンザ対策はどうしたらいいの?

A

まずは予防です!ワクチン接種の前に予防が一番重要です。
1日3回のうがい(うがい薬使用を勧めます)1日数回(4~5回)の手洗い(ハンドソープを使用)、できればアルコール手指消毒も勧めます。外出時はマスクの着用の3項目が基本です。その上でインフルエンザ感染のリスクがある方はワクチン接種してください。

Q

リスクの有る場合ってどんな場合ですか?

A

下記の場合は十分ご注意下さい!
子供さんがいる場合。
お仕事をされている場合。
特に毎年感染者がでている仕事場や医療関係者、保育園や小学校関係者などはリスクが高いため、ワクチン接種をお勧めします。逆にご主人と二人きりの専業主婦の方で、感染の可能性が少ない方は家族の方のみの接種でもいいと思います。

Q

妊娠している人は一般の妊娠していない人に比べてインフルエンザに感染した場合、症状が重くなるのでしょうか?

A

妊婦は肺炎などを合併しやすく、重症化しやすいと言われています。
妊娠週数が進むにつれ、重症化しやすく、妊娠28週以降の妊婦は特に重症化の危険が高いと言われています。

Q

ワクチンの保存剤(チメロサール)って何ですか?

A

チメロサールは「エチル水銀」という有機水銀を含む消毒液です。
1930年代(戦前)よりワクチンに防腐剤として混入されています。日本でも60年ほど前から使用され、まれにおこる軽度の皮膚過敏症のほかには特に健康障害を起こしたと言う報告はなく、これまでは最も安全で使いやすい防腐剤とされてきました。

最近、さまざまな環境問題が起こってくる中で極微量とはいえ有機水銀を医療品の中に混入し続けることは好ましくないと考えられるようになり、日本でも各ワクチンメーカーがチメロサールの減量を始め、製品の改良が進んでいます。

現在のところ、チメロサールによって神経障害(自閉症など)が起こったとする根拠のある報告は存在しないとされており、世界保健機関(WHO)のワクチン安全性委員会は、ワクチン中のチメロサールと子供の神経発達障害との因果関係を示す決定的証拠はないとしています。従って、現在のところ保存剤の入ったワクチン接種も心配ないと考えます。

Q

妊婦にインフルエンザ様症状(38.0℃以上の発熱、咽頭痛、咳、鼻汁・鼻閉感など)が出た場合はどうしたらいいのでしょうか?

A

直接の病院への受診は避けてください!
かかりつけの医療機関や内科にまず電話をし、指示を仰いでください。インフルエンザであった場合やインフルエンザ感染の可能性が高い場合は、抗インフルエンザ薬(タミフルなど)による治療を受けます。

Q

抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザ)はお腹の中の赤ちゃんに大きな異常を引き起こすことはないのでしょうか?

A

抗インフルエンザ薬を投与された妊婦および出生した赤ちゃんに有害な副作用の報告はないとされています。
最近催奇形性に関して、タミフルは安全であることが報告されました。

Q

授乳中にワクチンは問題ないですか?

A

抗インフルエンザ薬を投与された妊婦および出生した赤ちゃんに有害な副作用の報告はないとされています。
最近催奇形性に関して、タミフルは安全であることが報告されました。

Q

感染した母親が授乳することは可能でしょうか?

A

母乳を介したインフルエンザ感染は現在のところ知られていません。

RH(-)について

はじめに

Rh式血液型検査で妊婦がRh(D)(-)の場合、ご主人もRh(D)(-)なら問題ありませんが、ご主人がRh(D)(+)の場合は注意が必要です。

はじめての妊娠で胎児がもしRh(D)(+)であれば、特に分娩時に赤ちゃんのRh(D)(+)の血液がおかあさんの血液中に入り、おかあさんの血液中に抗体ができます。

2回目の妊娠で胎児がRh(D)(+)の場合、おかあさんの抗体が胎児の血液中に入り、胎児の赤血球を溶かし(溶血)、胎児貧血や胎児水腫(胎児の全身がむくんだ状態)が起こり胎児死亡になったり、生後、新生児重症黄疸で死亡、あるいは脳性マヒを起こしたりします。

ポイント

1.妊婦がRh(-)、御主人がRh(+)で、胎児がRh(+)の場合に注意が必要。

2.1回目の妊娠は問題ないが2回目の妊娠から胎児死亡を起こす。

予防法

1回目の赤ちゃんがRh(+)の場合だけでなく、流産・中絶の場合でも検査の結果問題なければ抗Dヒト免疫グロブリンを注射し、おかあさんに抗体ができるのを予防します。

B型・C型肝炎ウイルス保菌者

はじめに

日本には抗体を持っている方が約21%いるといわれており、HBウイルスのキャリア妊婦(保有者)は2~3%いると報告されています。

ポイント

1.ほとんどが産道感染(分娩時)ですが、胎内感染や産褥期感染もあると言われています。

2.キャリア妊婦から生まれた赤ちゃんへの感染率は、ウイルスの活動性にもよりますが20~40%といわれており、活動性の高い場合は80%の感染率と言われています。

3.キャリアとなった赤ちゃんの約40%に肝機能障害が出現するといわれています。

4.キャリアといわれた方は自分の血液が感染源にならないように注意し、定期的に肝機能検査を受けてください。

5.母乳は与えていただいて結構です。母乳中にウイルスがでる頻度は低く、母乳栄養と人工栄養とで赤ちゃんへの感染率は差がないと言われています。

予防法

分娩後、赤ちゃんに抗HBs人免疫グロブリンを2回注射し(分娩直後、生後2ヶ月)、続いて3回のワクチン(生後2ヶ月、生後3ヶ月、生後5ヶ月)を注射します。

C型肝炎の場合

C型肝炎ウイルスの母子感染も報告されていますが、B型肝炎ウイルスに比べると10%前後と感染率は低いようです。内科ではよくC型肝炎の治療としてインターフェロンが使用されていますが、妊婦や赤ちゃんに対する予防法は現在まだ確立されていません。

成人T細胞白血病検査(ATLA)

はじめに

成人T細胞白血病(ATL:Adult T-cell Leukemia)の原因は「human T-cell lymphotropic virus type-1(HTLV-1)」というウイルスであり、血液中には存在せず、リンパ球の中に存在しています。1985年に赤ちゃんへ母乳感染するという報告が出て以来、産科でも問題としてとりあげられるようになりました。

疫学

日本には120万人以上のキャリア(保有者)がいると推定されていますが、実際に発症するのは年間に1500人~2000人に1人の割合で発症率は低いといわれています。しかし成人T細胞白血病検査(ATLA)で陽性といわれた方は1年に1回定期検査(白血球数、リンパ球数など)を受けられることを勧めます。

感染経路

1.輸血(血球成分)

2.性交(男性から女性への感染)母乳による母子感染

3.母乳中のリンパ球が赤ちゃんに移行して感染するといわれており、15%~20%の赤ちゃんに感染するという報告があります。経胎盤感染や経産道感染は少ないといわれています。

予防法

1.輸血については最近はすべてATLAのチェックがされているため、ほとんど感染しません。

2.性交感染は精液中のリンパ球により感染するといわれており、コンドーム使用にて予防できます。

母乳感染については以下の通りです。

1.母乳を使用せず人工保育する。

2.母乳を56℃で30分加熱して与える。

3.母乳を-20℃で12時間凍結し溶かして与える。

4.3ヶ月間だけ母乳を与え、中止する。母親から移行した抗体により赤ちゃんは生後3ヶ月までは抵抗力が強く、母乳を与えた場合と人工保育した場合とで変わりがないという報告があります。

注意の必要な感染症

トキソプラズマ症

原因はトキソプラズマ原虫で、ネコの糞便中にある卵の経口感染やヤギ・ヒツジ・ブタなどの生肉の経口感染で感染します。鳥類にも寄生します。妊婦のトキソプラズマ抗体保有率は約20%と言われており、赤ちゃんの発症率は0.002%と非常に低いと言われています。胎内感染すると流産・早死や新生児の先天性トキソプラズマ症を起こします。

先天性トキソプラズマ症
症状として脈絡網膜炎、水頭症、頭蓋内石灰化などをおこし、予後は悪く90%に神経学的後遺症を残します。

梅毒

妊娠5ヶ月以降に妊婦が再感染、初感染を起こすとほぼ例外なく胎児感染を起こします。胎盤完成までに治療すれば胎児感染は免れます。先天梅毒は母体内死亡や早産・死産が多く、生後は発育不良、皮膚症状、肺炎、梅毒性骨軟骨炎などを起こします。

風疹

はじめに

昭和54年から中学2年の女子中学生を対象に風疹ワクチン接種が行われるようになり、抗体を持っている方が増え風疹にかかる方が減りました。しかし抗体が消失したり中学時にワクチンを接種していなかったために、抗体を持っていない方は30歳までの方で5~10%、30歳以上の方で20~30%はいると言われています。妊娠中に風疹にかかると胎内感染し、赤ちゃんが先天性風疹症候群児(先天異常児)になります。

先天性風疹症候群

主に妊娠初期にかかった場合に赤ちゃんに生じる症候群で、白内障、心疾患、聴力障害が主症状です。

ポイント

1.妊娠前に抗体があるかどうかチェックし、抗体がなければワクチンを接種しておいてください。

2.妊婦さんが風疹にかかった場合、かかった妊娠週数により先天性風疹症候群の発症率が変わります。

つまり先天性風疹症候群になりやすい時期、なりにくい時期があります。色々な報告はありますが一般的な発症率は以下のようにお考えください。

  • ~妊娠12週(妊娠4ヶ月まで):約90%
  • 妊娠12週~妊娠16週(妊娠4ヶ月~妊娠5ヶ月):約30%
  • 妊娠16週~妊娠20週(妊娠5ヶ月~妊娠6ヶ月):稀
  • 妊娠20週~(妊娠6ヶ月以降):極めて稀

以上のことより妊娠初期では発症率が高く、妊娠6ヶ月以降では発症率が極めて低いと考えられます。

水痘

先天性水痘症候群

胎内感染すると赤ちゃんは先天性水痘症候群を起こすことがあります。主症状は皮膚症状以外に白内障、脈絡網膜炎、小眼症、四肢形成不良、精神発達障害などがあります。

ポイント

1.妊娠前に抗体があるかチェックしておいてください。

2.妊娠初期に感染した場合、発症率は約5%と低いのですが、問題は分娩4日前から分娩後2日以内に妊婦さんに症状が現れた場合、つまり分娩直前での感染の場合は重症化します。

3.重症化する可能性のある場合は赤ちゃんに免疫グロブリンを注射します。

サイトメガロウイルス

あまり聞き慣れない名前ですが胎内感染、産道感染をおこし、奇形を発症します。症状は肝脾腫、黄疸、小頭症、脈絡網膜炎、脳内石灰化で予後も悪く、神経学的後遺症を残すことも多いといわれています。

日本では大部分の人が感染しており、妊婦の約95%に抗体ができているといわれており妊娠中に感染する可能性のある人が5%と少なく、発症も極めて稀であるため、今まであまり問題にされていませんでした。

また胎児へ感染してもほとんどが無症状で約5%の発症率です。しかし最近抗体保有者が約80%と低くなってきているため、これから注目されていく感染症と思われます。現時点では信頼できる検査方法がなく、ワクチン接種も検討されています。

その他

麻疹、おたふくかぜ、インフルエンザについてはやや流産率が高くなるという報告はあるが、現在の時点で奇形児との関係は証明されていません。

流産・早産予防

はじめに

流産・早産の原因には以下のような色々な因子が関与しています。

1.染色体異常

2.子宮筋腫など

3.頚管無力症

4.内分泌異常(甲状腺疾患、糖尿病など)

5.前期破水など

近年、絨毛膜羊膜炎が注目をあびています。帯下に細菌が繁殖し、細菌性膣炎や頚管炎になり、子宮内にまで細菌が入り、絨毛膜羊膜炎になり子宮収縮や破水を起こします。

予防法(絨毛膜羊膜炎)

1.妊娠中に膣炎の検査を行い早期に治療します。

2.子宮頚管成分の検査をし早産、破水の兆候をチェックします。

3.外陰部の清潔を心がけてください。

4.性交による感染症を予防します。

原則的には妊娠中の性交渉は避けたほうが望ましいですが、流産率の高い妊娠12週までと破水しやすい妊娠36週以降は避け、その他の時期(流産・早産傾向のない場合)の性交回数も非妊娠時の1/2~1/3に抑えます。性交渉は簡単なものとし、精液中に子宮口を柔らかくする成分が含まれているためコンドームを使用します。

悪阻(つわり)

はじめに

つわりは胎盤のもとになる組織から出るhCG等のホルモンやその代謝産物が原因となり、自律神経失調をおこし悪心・嘔吐が出現・増悪すると言われています。時期は個人差がありますが、妊娠6週頃から出現し、妊娠12週頃には軽快します。人によっては妊娠16週近くまで続く方もいらっしゃいます。

症状

症状には以下の様に軽症なものから重症なものまで色々あります。

  • 悪心・嘔吐(胆汁、血液の混ざることもある)が出現し、食事がとれないため体重減少・脱水症状をおこす
  • 嘔吐に加えて代謝異常による中毒症状が出現し、発熱・頻脈・軽度黄疸・尿量減少・血中電解質のバランスがくずれる。
  • 頭痛・めまい・視力障害・眼華閃発(目の前がきらきらする)・昏睡といった脳症状が出現する。

(2)が悪化したり、(3)までくると人工妊娠中絶を行う必要が出てくることもあります。

予防法

1.妊体重のチェック

2~3日に1回体重を測定してください。2週間で1kg以上体重が減少してきたら悪化してくる可能性がありますのでご連絡ください。

2.食べ方

1回の量を少量にし、3回食ではなく頻回に食べる
カロリーは考えず、食べれる時に食べたいものを食べる。
冷えたものの方が食べやすく吐き気がでないためアイスクリームや氷をはじめ、食事も冷えたものを食べる。

3.気分転換

公園など外でピクニック気分で環境を変えて食事をする。

4.家族の方に協力してもらう

つわりは精神面が大きく関係しています。ご主人や家族の方とうまくコミュニケーションがとれておらず心配事があると、つわりも悪化します。つわりはお腹の中にかわいい赤ちゃんがいる証拠です。みんなとうまくコミュニケーションがつくれる環境をつくってもらい、家族の方にできるだけ協力していただき、お腹の中の赤ちゃんのことに専念できるようにしてもらってください。

便秘

原因

妊娠中は便秘になりがちです。腸の運動を支配している副交感神経の緊張低下、妊娠子宮による腸の圧迫、排便反射の低下、妊娠子宮と黄体ホルモンにより静脈の血流障害がおき、腸の運動が鈍くなり、排便能力も低下し、便秘になります。妊娠中は2~3日に1回排便があれば結構ですので、あまり神経質にならずに以下のことに注意してください。

心がけること

1.食物繊維と水分を充分とること。

2.朝食後には必ずトイレに行くなど排便習慣をつけること。

3.便意を感じたら我慢せずにすぐに排便すること。

4.朝一番に冷たい牛乳を飲むこと。

5.寝る前にコップ一杯の水を飲んでおくこと。

6.静脈瘤や痔により排便痛を感じ、便秘がひどくなるので早めに治療しておくこと。

7.流産・早産傾向がなければ、適度な運動(散歩、マタニティービクス、マタニティースイミング等)をすること。

以上のことを心がけても排便がない場合は、緩下剤を処方いたします。

肥満

合併症

肥満により以下の様な妊娠への影響が認められます。元気な赤ちゃんが生まれるように妊娠中は特に肥満にならないように自己管理してください。

1.妊娠高血圧症候群

肥満妊婦は正常妊婦に比べて約7倍の発症率と言われています。妊娠高血圧症候群になれば血圧上昇のため帝王切開率は増える上、胎児発育遅延、子宮内胎児死亡、産後に高血圧や腎炎が持病となってしまう確率が高くなります。以前は”妊娠中毒症”と言われていました。赤ちゃんのために注意が必要です。

2.妊娠性糖尿病

肥満妊婦は正常妊婦に比べ約10倍の発症率と言われています。妊娠性糖尿病になれば妊娠高血圧症候群になりやすく、羊水過多症や巨大児分娩となり、難産・帝王切開率も高くなります。赤ちゃんも巨大児以外に低血糖を起こしたり、黄疸が強くなったり、呼吸障害を起こし小児科入院が必要となり、長期間の管理が必要になることがあります。最悪の場合、周産期死亡といって分娩中に赤ちゃんが死亡したり、出生後死亡する確率が増えます。注意の必要な合併症です。

3.お母さまの腎盂腎炎発症率の増加

4.巨大児率の増加

5.胎児奇形率の増加

6.新生児低血糖率の増加

7.新生児呼吸障害率の増加

8.帝王切開率の増加

9.分娩時出血量の増加

お母さまの健康、赤ちゃんの健康を考えると肥満にならないように充分な自己管理が必要です。

肥満の防止

1.運動療法

流産・早産傾向がなければ、マタニティービクス、マタニティースイミングなどの無理のない運動により体重管理することをお勧めします。

2.食事療法

カロリーとしては、妊娠前半は1600kcal、妊娠後半は1800kcal、産褥期は2100kcalに抑えます。

肥満度のチェック

1.カウプ指数

体重kg/(身長)×(身長)=この値が20~22が標準体
(妊娠前半で24、後半で28以上は肥満妊婦です)

2.Brocaの計算式

妊娠前体重+妊娠月数(kg)
例えば妊娠前50kgの妊婦は妊娠8ヶ月で50+8=58kg。妊娠10ヶ月で60kg。この値の±20%の範囲を目安とします。

{(身長ー100)×0.9kg+妊娠月数kg}×1.2以上は肥り過ぎ。
例えば身長155cm、妊娠10ヶ月とすると{(155-100)x0.9+10}×1.2=71.4kg。

一度計算してみてください。

妊娠性糖尿病

肥満妊婦の糖尿病発症率は正常妊婦の約10倍と言われています。肥満以外に以下の場合に注意が必要です。

注意の必要な方

1.糖尿病の家族歴のある方

2.肥満のある方

3.巨大児分娩歴をもつ方

4.尿検査で2回以上尿糖が続いて出ている方

5.妊娠高血圧症候群のある方

6.原因不明の反復流早産・周産期死亡歴を持つ方

7.羊水過多症のある方

妊娠性糖尿病からの出産児

1.巨大児

2.低血糖症

3.低カルシウム血症

4.多血症

5.肥厚性心筋症

6.先天奇形

糖尿病傾向のある方は非妊娠時からのコントロールが重要です。

妊娠高血圧症候群

妊娠性糖尿病からの出産児

妊娠中に高血圧・蛋白尿・浮腫の1つもしくは2つ以上の症状が見られる場合を言います。高血圧は母子の予後に関係するため最も注意が必要です。原因は色々な説があり、まだはっきりしたことはわかっていません。

発症しやすい因子

症状には以下の様に軽症なものから重症なものまで色々あります。

1.高血圧家族歴および経産回数

初産婦に多い。母親や姉妹が妊娠高血圧症候群既往の場合に多い。

2.多胎妊娠

双胎では単胎に比べ7倍。

3.高齢

35才以上で増加。

4.肥満・体重増加

妊娠初期の肥満(指数:30%以上)妊娠時体重が65kg以上で多くなる。

5.慢性高血圧および糖尿病

本態性高血圧・糖尿病があると多くなる。

6.痩せている人

妊娠前の体重が44kg以下の場合多くなる。

予防法

1.妊娠前に高血圧・糖尿病のある方は治療しコントロールしておく。

2.妊娠中に肥満にならないようにカロリーに注意し、体重をコントロールする。

母乳について

母乳の利点

1.消化吸収が良く、栄養が豊富である。

2.免疫物質が含まれており病気に対する抵抗力がつく。

3.抗アレルギー作用がありアレルギーが少ない。

4.簡便で経済的である。

5.母子のスキンシップがはかれる。

6.中枢神経の発達を促す。

7.乳幼児突然死症候群の発症率が低下する。

8.インスリン依存性糖尿病の発生率が低下する。

母乳の欠点

1.ビタミンK欠乏性出血症

母乳中にはビタミンKが不足しているために出血傾向がおこる。現在出生後ビタミンKを投与しているため予防されている。

2.母乳性黄疸

3.薬剤の母乳中への移行

4.経母乳感染(サイトメガロウイルス、成人白血病ウイルス、エイズウイルスなど)

母乳の出る時期

個人差はありますが、お産後4日目頃より出始め1~2ヶ月頃には増えてきます。なかには妊娠中から乳汁が分泌される方もいらっしゃいます。妊娠16週頃から乳房・乳頭のお手入れ、産後からは乳房マッサージをして良い状態で赤ちゃんに母乳をあげてください。

当院では乳房マッサージをしておりますので、ご相談がございましたらお気軽にスタッフへお尋ねください。

気になる症状

ふらつき

妊娠中は自律神経系が不安定な状態であるため、起立時に血管収縮などの調節が不十分であり、また妊娠子宮で動脈や静脈が圧迫されるために循環不全をおこして立ちくらみを感じることがあります。貧血や他の病気がなく妊娠によるものであれば、安静にし、日頃から適度な運動をするように心がけてください。

歯痛

妊娠中に歯が弱くなるのは胎児にカルシウムを与えているからである、という説は現在否定されています。原因は歯の手入れが不十分なためといわれています。まずは口腔内を清潔に保つことです。できれば妊娠前に歯科で治療してもらっておくことがベストですが、妊娠中に歯の状態が悪ければ悪化しないうちに早めに歯科で治療してもらってください。

手のしびれ・むくみ

妊娠中に手のしびれ感や朝起床時に手のむくみを感じることがあり、妊娠末期では5~10%にみられます。ほとんどの場合は全身浮腫の部分症状であり、他に姿勢の変化による神経の圧迫や神経炎の部分症状であることもあります。まずは塩分制限(水分もやや控えめに)をしてください。症状が増強したら医師にご相談ください。

腰痛

子宮の重量が増し、体の重心が前に移動し姿勢が悪くなり、腹筋の緊張も低下し腰部に負担がかかるためおこります。妊娠初期から正しい姿勢を保ち、長時間の立位・坐位の労働を避け、腰痛が強ければ温湿布やコルセットを使用してください。

静脈瘤

妊娠時に静脈瘤の起こることが多く、下肢、外陰部、肛門部、膣壁にみられます。これは妊娠により骨盤内の血液量が増え、妊娠子宮により血管が圧迫され血液循環が悪くなることや妊娠による静脈壁の緊張低下などが原因です。下肢の場合、下肢の挙上・マッサージ・温湿布や弾力性のある包帯の使用をためしてください。外陰部については弾力性ストッキングや下着での圧迫でみるしかありません。その他、長時間の起立は避け、体重増加が過剰にならないように糖質や脂肪の摂取を制限してください。

こむらがえり

夜間寝返りをしたり、下肢を伸ばした時におこりやすいようです。原因として局所の循環不全、筋肉の過労、カルシウムの摂取不足などが考えられます。牛乳、チーズ、小魚などカルシウムの豊富な食物を食べるようにしてください。場合によってはカルシウム剤やビタミン剤をお渡しします。

吐き気

妊娠初期のつわり以外に妊娠30週頃から妊娠35週頃まで嘔気・食欲不振・胃痛を訴える方がいます。妊娠32週頃が子宮の高さが1番高い時期であり、胃が圧迫される時期でもあります。ほとんどの場合は胃の圧迫によることが多く、妊娠36週頃になり子宮が前に倒れてくると楽になります。なかにはストレスによる軽度な胃炎の場合もありますのでご相談ください。食事の量を通常の5割から6割にし、1日4回食にしてみてください。症状が強くなるようであればご相談ください。

子宮頚癌ワクチンについて

小学校6年生から高1までの方は公費(無料)で子宮頚癌ワクチンが接種できます。

予防接種を受ける際は、ワクチンの有効性とリスクを十分に理解した上で、受けるかどうかをご判断ください。

 

(1)子宮頚癌ワクチンは2種類あります。

1種類(2価ワクチン)はヒトパピローマウイールス(HPV)16型18型に対する抗体が高濃度にできるものです。もう1種類(4価ワクチン)はHPVの抗体と尖圭コンジローマの抗体がつくものです。ご希望のワクチンを接種していただけます。接種は当日、1~2ヶ月後、6ヶ月後の3回接種です。

(2)自費接種の場合

1回目18,000円、2回目17,000円、3回目17,000円となります。ご質問のある方は気軽にご連絡ください。

(2)自費接種の場合

1回目18,000円、2回目17,000円、3回目17,000円となります。ご質問のある方は気軽にご連絡ください。

沢田レディースクリニック ホームページを見たとお伝えください TEL:072-267-5200
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